2024.01.23

賃貸運営を高利回りにする最新方法

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需要が見込める地域で表面利回り12%以上を購入ターゲットに!

そもそも利回りは、投資金額に対して1年間で「どのくらい回収できるか」の指標です。つまり、高利回りを実現できれば収益性も高くなるわけです。また、この利回りには「表面利回り」と「実質利回り」の2種類があります。一般的に、収益物件の情報などに掲載されているのは満室想定の表面利回りになります。

しかし、家賃収入からは、物件運営のために必要なランニングコスト(火災保険や地震保険の費用、管理費、固定資産税など) や借入金の支払いが出ていきます。これらを差し引いて計算したものが実質利回りです。例えば、購入価格が2000万円の物件で、年間の家賃収入が200万円なら、表面利回りは10% です。

しかし、ランニングコストや借入金の支払いなどで計100万円かかった場合には、年間収入が100万円で実質利回りとしては5%になります。さらに、空室期間やリフォームにかかる費用などを考慮すれば実質利回りは、もっと下がることになります。

私の肌感覚では、地方の築古の木造アパートを頭金2割で金融機関から融資を20年で受けて購入した場合の実質利回りは、表面利回りから4〜5% 引いた数字になるケースが多いと思います。もちろん条件次第で変わりますが、これを基準に考えれば、最低でも表面利回り12〜13% (実質利回り8%) は実現したいところです。

現在は、収益物件の市場価格が高騰しており建築資材などの価格も上昇しているため、都心の物件や新築などでは前述の利回りを達成するのは難しいと思います。

そこで狙いたいのが、地方の一棟アパートや戸建て物件です。例えば、物件価格1600万円で表面利回り13% の一棟アパートを入手すれば、融資期間が10年でも黒字運営できる可能性があります。仮に満室稼働を実現できれば10年で物件価格の回収も終わり、無借金状態で年間の家賃収入約200万円の資産が手に入るのです。

そして、より高利回りを実現しやすいのが地方の築古物件です。魅力としては「手頃な価格で入手できて売却もしやすい」「高稼働すれば投資の回収が早い」「最後は土地としても売れる」などです。

賃貸需要が見込めるエリアであることが大前提になりますが、郊外の分譲住宅地などでは格安で戸建てを購入できることもあります。

実際に、私の友人で千葉県にある再建築不可の戸建てを30万円で入手し、駐車場の整備など50万円でリフォームを行い家賃5万円で貸し出している大家さんがいます。表面利回りは75% です。もしも、相続した実家が地方にあり古い空き家であれば、リフォームして貸し出すのも手です。

私も郊外にあった実家を左右に区切り二世帯住宅にリフォームして、貸し出した経験があります。リフォーム費用は350万円で二世帯の合計家賃が月額13万円、表面利回りは約45%です。このケースでは2年強で初期費用を回収できました。13万円は地方で単身者向けの4世帯ぐらいの小規模アパートから得るのと同程度の家賃になります。

このように、賃貸経営の初心者の方は高利回りの戸建てから始めて運営手法やリフォームなどの知識を蓄積し、資金を貯めてから一棟アパートを購入するのも良いと思います。ちなみに、私が考える経済的安定レベルは、年間家賃収入1000万円、市場価格でトータル数千万円になる物件(数棟) を所有することです。

賃貸経営では、空室、修繕、金利上昇、家賃滞納、自然災害などのリスクがありますが、前述の状況を構築することでリスクヘッジできる可能性が高くなります。特に今後は、金利上昇に対する備えも必要だと感じます。理由は物価が上昇し続けており、これを抑えるのに金利を上げる政策が取られる可能性が高いからです。

地方の掘り出し物を見つけ手に入れる方法とは?

売れ残っている物件を指値で安価に入手し高利回りを実現する

物件探しの基本はインターネットによる検索です。そして、収益物件サイトで検索する際のポイントが「情報掲載日」になります。着目するのは「掲載から長期間経過している物件」です。理由は長い間売れないと、売主さんが弱気になっているからです。そこに値引きの可能性が生まれます。今の時代は利回り12〜13%以上で「いいな」と思える物件には簡単には出会えません。

そこで「売れ残っている普通の利回りの物件を値下げで高利回りにする」わけです。ただし、このような物件は何かしら問題がある可能性が高くなります。そこを見極め知恵を絞ってリスク回避することが重要です。

また、築古戸建ての場合は「検索対象を土地にする」のも手です。土地と言いながらも、実は古い建物が残されているケースがあるからです。このような建物も大抵は住めるレベルにリフオームすることが可能です。指値をする際は「建物の解体に費用が必要」と伝え打診するのも良いと思います。

最後に地方で狙うべきエリアについても触れておきます。一言でいえば「特色がない平凡な街で賃貸需要が見込める場所」が理想的だと思います。具体的には、関東圏では千葉県の旭市、茨城県の坂東市、栃木県の小山市や下野市などです。これらは、私が物件を所有し高稼働を実現した地域になります(売却済も含む)。

例えば、私が今も所有している茨城県の坂東市の物件は、地域の平均空室率は30%以上と高い水準です。そのため、前オーナーも空室が増えて安く手放し高利回りで入手できました。

しかし、今も平均95%程度の入居率で稼働しています。理由は、周囲に地主の大家さんが相続対策で建てた賃貸物件が多く、それらより1万円程度安い家賃設定で勝負しているからです。これは物件を格安で仕入れたことで実現できました。空室率が高いエリアは入居募集に熱心ではない大家さんが、そのままにしているケースも多いため、満室もあれば空室だらけの物件も存在しています。

ですから、平均空室率だけを見て判断する必要はないわけです。狙うべきは「競合がひしめき合わずに過疎化も進んでいない程良いエリア」だと思います。

地方物件の「譲れない条件と譲れる条件」とは?

入居決めに必要なのは部屋の広さと駐車場!湿気や擁壁にも注意

地方では部屋が広いのは当たり前です。さらに、世帯分の駐車場があるのも必須です(一世帯で大人の人数分、車を所有している家族もいるため、それ以上あれば理想的)。やはり「部屋の広さと駐車場」は譲れない条件といえます。そのうえで…

  1. 再建築不可(敷地が幅4 m以上の道路に2 m以上接していない)
  2. 契約不適合免責(建物に暇疵があっても売主は責任を負わない)
  3. 借地権(地代を支払い土地を借りる権利)

などは高利回りを実現するために譲歩可能な部分です。値引き交渉の理由にするのも良いでしょう。

例えば、①再建築不可の場合は、解決法もあります。道路に接しているのが2 m未満の場合は、隣地を購入し接している部分を広げるのです。さらに、敷地が接しているのが4 m未満の道路であれば、敷地の一部分を道路として提供する(セットバック) で再建築が可能になるケースもあります。

また、②契約不適合免責についても、売主は物件の鍜疵を把握し契約書に明記する必要があります。そのため、書いていない不具合が見つかった場合は「契約書と違うので収疵を直してください」と主張できます。もしも直さなければ契約解除も可能です。

最後に建物の状態についてですが、湿気で壁紙が剥がれていたり、雨漏りの痕跡がある場合などは注意が必要です。特に建物が地下水脈の上や雨が溜まりやすい土地にあり、地盤からの湿気が室内にこもりやすい状況などは簡単には解決できません。そのため、部屋がカビだらけの物件には手を出さない方が無難です。

ほかにも古い擁壁があり、大雨で倒壊する危険性がある場合なども避けるべきです。反対に建物や設備が古いのだけが理由で入居が決まらず、安価で売りに出ているものは「お宝物件」に化ける可能性があります。リフォーム費用をかけても実質利回り8%以上が見込め、それなりに賃貸需要もあるエリアなら購入ターゲットになると思います。

再建築不可の物件の一例と対応方法

弱点を指摘しつつ心を込めて行う値引き術とは?

相手の事情も鑑みつつ低姿勢で粘り強く物件の弱点を指摘する

最初に物件の購入予算を決める際には諸経費(火災保険料、地震保険料、管理費、共用部分の光熱費、固定資産税、都市計画税など) やリフォーム費用なども見積もるようにします。そして、将来の太規模修繕に備え毎月家賃の5% 程度を修繕積立金としてプールすることに加え、将来の金利上昇や空室リスク、家賃の下落なども考慮する必要があります。

これらを慎重に精査し「本当の実質利回り」を弾き出すわけです。この結果を踏まえて、値引き交渉で目指す購入金額を決めていきます。

指値における基本は、購入を検討している物件の弱点を全部洗い出し「売主にも同じ認識を持ってもらうこと」です。そこで、最初は「駅から遠い」「日当たりが悪い」など売主の努力では解決できない点を指摘していきます。

次に個別の弱点のなかでも大きい部分「外観の状態が良くないので塗装が必要」「屋根が傷んでいて雨漏りが不安」などを突いていくのです。理由は、売主が売却を考えるのが「外観や屋根に大規模修繕が必要な時期」になることが多いからです。

そのため、この点を指摘されると値引きに応じざるを得ない雰囲気になりやすいのです。ほかにも「設備が古いので交換が不可欠」「トイレが和式なので洋式にする必要がある」など、弱点があれば思いつく限り伝えましょう。

ただし、上から目線でダメ出しをするのは絶対に避けてください。態度によっては「あなたにだけは売らない」となってしまいかねません。やはり、心を込めて丁寧に話をすることが大切です。ちなみに、私は栃木県のアパート(現在は売却済) を買い受ける際に「大切なお嬢さんをもらい受ける」という姿勢で、売主さんの所へ老舗百貨店の菓子折りを持って伺いました。その結果50万円値引きして頂いた経験があります。

さらに、第三者の意見も効果的です。交渉時にリフォーム業者さんの見積金額や金融機関の評価などを見せることで、相手が納得しやすくなります。

最後に交渉が成立しやすくなる値引きの妥当金額の計算方法の例もご紹介しておきます。まず土地の実勢価格を1400万円、売却希望額も同額と仮定します。仮に物件のローンの抵当権を外すために必要な金額(残債額) が800万円だと判明した場合、それに加えて売主から仲介業者へ支払う手数料や税を考慮していきます。相手が売り急いでいたとして200万円の値引きを提案してみます。

そして、1200万円で売却したとすれば…仲介手数料が約46万円「3% 十6 万円に別途消費税」、譲渡所得税が約71万円「(売価1200万円-仲介手数料1残債額800万円) ×5 年以上保有の譲渡税率約20%」となり、約117万円が必要になります。つまり、残債の800万円を返済しても、売主の手元に約283万円が残るわけです。これなら交渉に応じてくれる可能性も高くなります。

満額融資を引き出すためのテクニックとは?

事業計画書に注力して面談時の回答もシミュレーションする

金融機関から融資を引き出す際に重要なのが事業計画書です。作成時のポイントは、想定される空室期間や修繕費用などを考慮した内容で仕上げることです。ほかにも金融機関の担当者さんと面談する前に「自己紹介シート」「金融資産の一覧表」「借り入れがある場合はすべての返済表」「源泉徴収票・確定申告書・事業を始めている場合は決算書(3期分)」「物件資料」などを用意します。

また、面談時には次のような内容を聞かれるため、回答を事前に想定しておくと良いと思います。

  1. 当行に融資を申し込んだ理由(取引先である、既存客からの紹介、自宅や勤務先から近いなど。)
  2. 物件状態と管理方法(外観や稼働状況などで写真もあればベスト。管理費も伝える。)
  3. 購入理由(間取りや利便性など)
  4. 将来の需要(地域需要の内容とそれに該当する旨を伝える。)
  5. 経年劣化への対策(修繕履歴と今後の計画について回答。)
  6. 固定資産税額、ランニングコスト、路線価など(金額を調査する。)
  7. 使える白己資金(希望を伝える。)
  8. 融資期間の希望と理由(稼働率何%で期間何年で黒字ラインか損益分岐点を把握しておく。そのうえで希望の融資期間は黒字を死守するのに不可欠と伝える。)
  9. 入居率を高める対策(コストを意識した魅力あるリフォーム案や、競合に勝てる募集条件を調査する。)
  10. 経費率を抑える工夫(多能工の起用、施主支給品の活用、相見積もりや丁寧な交渉などを説明。)
  11. 他行への相談(正直に話す。)

費用対効果を発揮するリフォーム術とは?

空間の企画力を磨きマイナスの要素を可能な限り消していく

リフォームで一番大切なのが空間の企画力です。やはり、入居希望者様に部屋をアピールするには、大家さん自身が知恵を絞る必要があります。例えば、部屋を明るく見せたり間取り変更をして印象を変えるのも方法のひとつです。もしも部屋の日当たりが悪く暗い印象が強い場合は、床・天井・壁などをすべて白にして、照明を6畳の部屋なら8畳用にするなど通常よりも明るくします。

また、狭いダイニングキッチンの2 DK の間取りであれば、隣の部屋との壁を取り払い広いリビングの1 L D Kにするのも良いと思います。ほかにも「和式トイレを洋式にする」「壁紙が剥がれていたら張り替える」「洗面台がない場合は設置する」など、対応できる範囲でマイナス要素を消していきます。

そのうえで、次にブラッシュアップに取り組みますが、この時は常に費用対効果を意識することも忘れてはいけません。予算の目安としては、私の場合は大がかりなリフォームの場合で賃料の15カ月分を上限にしています(浴室の入れ替え工事は別途計算)。

また、コスト削減という観点では、自治体の補助金を活用するのも手です。実際にバリアフリーや内窓・二重サッシなどの省エネを目的としたリフォーム費用に助成金を出しているところもあります。


例えば、東京都では「既存住宅における省エネ改修促進事業」として、住宅を所有する個人や法人が高断熱窓・高断熱ドア・断熱材を設置する場合に、工事費用の3分の1 (上限額は窓10 0万円、ドア16万円、断熱材24万円) まで補助を出しています(令和9年度まで募集)。

リフォームにおけるアイデアの一例

高稼働を実現する業者さんとの関係作りとは!?

相手の懐に飛び込みコミュニケーション!連絡はメールを活用

日々の運営や入居募集などにおいて重要なポイントになるのが管理会社さんや仲介業者さんとの関係作りです。いずれも大切なパートナーなので、お互いに信頼し合えるのが理想的だと思います。そのためにも、担当者さんに顔と名前を覚えてもらい、大家さんからも名前で呼びかけるようにします。

そして、店舗を訪問する際は缶コーヒーや栄養ドリンク、スイーツなどの手土産を持参しましょう。担当者さんとは、ビジネスライクではなく相手の懐に入り、心を掴むコミュニケーションを心掛けると仲良くなれます。私の場合は担当者さんの趣味を覚えて、仕事の話でも最初は世間話などから入り、お互いに話しやすい雰囲気を作ってから本題に移るようにしています。

そして、業務上で必要な連絡はまとめてメールでやり取りをします。これにより経過を時系列で把握しやすいうえに「言った・言わない」などの問題回避にも繋がるからです。メールの内容についてはシンプルで分かりやすい点を重視してまとめ、可能な限り早いレスポンスも心がけます。

また、収益物件の販売業者さんと懇意になれば、相場よりも2〜3割ほど安価に購入できる任意売却物件(競売の前に債権者全員の合意を得て市場で売り出し、債務の回収に充てる物件) の情報なども入ってくる可能性があります。ビギナー大家さんのなかには「専門用語を知らないので、何を話していいか分からない」と言う人もいるかも知れません。

しかし、最初は知らなくても問題ありません。相手に対して「勉強になります」という感じで話を繋げば大丈夫だと思います。心理学に単純接触効果というのがあり「会うだけでも、機会が多いほど相手に好印象を与える」と言われています。そのため、苦手意識があっても避けずに何度も会う機会を作ることで少しずつ距離を縮められると思います。

このような信頼関係が重要なのは、リフォーム業者さんでも同じです。50万円を超えるような大きなリフォームにおいては3社以上の相見積もりを取るのが鉄則ですが、極端にやり過ぎると信頼関係を壊しかねないため5社程度に抑えるのが良いと思います。

そして、業者さんを決める際には金額だけで選んではいけません。安いから依頼したものの「仕上がりが雑だったり、工事途中で倒産してしまい酷い目に遭った」という話を頻繁に聞くからです。やはり、最安値ではなくても信頼できる業者さんに依頼するのが一番良いと思います。