- new!
- 2025.12.07

「高速ネット無料」はなぜ最強か?
5,500万人のゲーム市場を狙う賃貸住宅の新戦略
最新の人気設備ランキングで「高速インターネット無料」が「家賃が高くても入居が決まる設備」の1位となっていることは、多くのオーナー様がご存知かもしれません。 しかし、「なぜ人気なのか?」その理由を深くご存知でしょうか。単に「リモートワークや動画視聴のため」だけだと捉えると、大きなビジネスチャンスを逃す可能性があります。 今回は、50代以上のオーナー様には少し意外かもしれない、その背景にある「巨大市場」と、そこから導き出される「新しい賃貸コンセプト」をご提案します。
1:市場データが示す「ゲーマー」という巨大市場
「ゲームは一部の若者の趣味」という認識は、もはや過去のものです。 「ファミ通ゲーム白書2024」によれば2023年の日本国内のゲーム人口は約5,553万人に達し、これは国民のほぼ半数がゲームに親しんでいる計算になります。さらに、国内のオンラインゲーム市場規模(2024年)は1兆105億円と推計されており、これは無視できない巨大な「消費者市場」です。この巨大市場の中心こそが、賃貸物件のメインターゲットと重なります。最新の「ゲーマー国勢調査(2024-2025)」によれば、1.4万人超の回答者のうち、「20~30歳台前半」の層が全体の半数以上を占めています。
「ゲーマー市場」の規模
国内ゲーム人口:約5,553 万人 国民のほぼ半数! 国内オンラインゲーム市場:約1兆105億円(2024年推計) PCゲーム市場の伸び:前年比+24.9%増
2:なぜ「高速(High Speed)」でなければならないのか
この「20~30代の単身者層」が、なぜ「無料」なだけでは満足せず「高速」な回線を求めるのでしょうか。 それは、彼らの多くが「PCゲーマー」であるためです。『ファミ通ゲーム白書2024』によると、国内ゲーム市場全体の中で、アプリゲームがほぼ横ばいなのに対し、PCゲーム市場は「前年比24.9%増」という驚異的な伸びを示しています。ゲーマー国勢調査でも、全体の70%がPCでゲームをプレイしていると回答しています。
彼らがプレイする対戦型オンラインゲームでは、仲間との通信や操作の「タイムラグ(遅延)」は、勝敗を分け「致命傷」となります 。だからこそ彼らは、「無料」であること以上に「高速かつ安定」している回線を、家賃を払ってでも求めているのです。
3:理由がわかれば「次の一手」が見える
この「PCゲーマーという入居者像」を具体的にイメージできると、オーナー様が取るべき空室対策は、単なるネット導入に留まりません。「高速ネット」を導入するということは、この1兆円超の巨大市場にアプローチする「入場券」を手に入れることに他なりません。 人気設備の「理由」を深掘りし、入居者のライフスタイルに合わせた「コンセプト(防音・宅配)」を加えること。それこそが、これからの賃貸経営に求められる戦略的な「空室対策」ではないでしょうか。
コンセプト:「ゲームに集中できる部屋」
戦略1:「防音性」の強化 オンラインゲームでは、仲間とボイスチャットで連 携するため、白熱して大声になりがちです。
これが騒音トラブルの原因になっては元も子もありません。「高速ネット完備」に加えて「防音性に配慮(例:二重サッシ、防音材の使用)」をアピールできれば、競合物件との圧倒的な差別化になります。
戦略2:「室内完結型」のライフスタイル支援 彼らは一度ゲームを始めると、長時間部屋にこもることが多いライフスタイルです。そこで、「近所にコンビニがある」、「Uber Eatsなど宅配エリア内」といった情報や、「宅配ボックス」の設置(食事や飲料、ゲーム機材の受け取りに便利)が、入居の決め手として非常に強く響きます。
インボイス制度2年目の確定申告!
「2割特例」の有利不利と、2027年以降の戦略的判断
2025年も師走を迎え、来春の確定申告(2025年分)に向けた準備を始める時期となりました。インボイス制度の開始(2023年10月)に伴い課税事業者となったオーナー様にとって、今回の申告は「2回目」の消費税申告となります。 前回の申告(2024年分)では、計算の簡便さから「2割特例」(売上税額の2割を納付)を選択された方も多かったのではないでしょうか。しかし、この特例は経営判断を停止させるものではありません。 今回は、2025年分の申告における「2割特例」の有利不利の検証と、特例が終了する2027年以降を見据えた経営戦略について解説します。
1:2025年分。
「2割特例」と「本則課税」どちらが有利か?
まずは、2025年(今回)の申告における選択肢の「検証」です。
2025年分申告:納税額の計算方法比較
| 方式 | ① 2割特例 (簡易的な計算) | ② 本則課税 (実額で計算) |
| 計算式 | 預かった消費税 ×(かける) 20% | 預かった消費 ー(マイナス) 支払った消費税 |
| 特徴 | ・事務作業が圧倒的に楽 ・売上さえ分かれば 計算できる | ・仕入(経費)が多いほど 納税額が減る ・インボイスの保存 ・集計が必須 |
| 判断 | 経費が少ない年に有利 | 大規模修繕など高額な 支払いがあった年に有利 (還付の可能性も) |
<現場での判断ケース>
もし2025年中に、高額な外壁塗装や給排水設備の交換といった大規模修繕を行った場合、どうなるでしょうか。
支払った修繕費に含まれる消費税額が非常に大きいため、「本則課税」で計算した方が、「2割特例」よりも納税額が少なくなる(あるいは還付になる)可能性が出てきます。 特に、インボイス番号のある業者へ多額の支払いがあった年は、「計算が楽だから」という理由だけで2割特例を選ぶと、キャッシュフロー上は損をしているかもしれないのです。
2:要注意!
「2割特例」は2026年分で終了します。
2025年分の検証と同時に、さらに重要な経営判断が迫っています。それは、2割特例が「2026年分(2027年3月の申告)」をもって終了するという事実です。
2027年分以降、オーナー様は「本則課税」か「簡易課税(※)」のどちらかを選択し、消費税を計算・納付しなければなりません。(※簡易課税:課税売上が5,000万円以下の場合に選択可)
「簡易課税」は、業種(不動産業は第6種)に応じて「みなし仕入率(40%)」で計算するため、事務負担は軽いですが、本則課税と比べて必ずしも有利とは限りません。
2割特例の適用期限(タイムライン)
| ~ 2024年分(前回) ➡ | 2025年分(今回) ➡ | 2026年分(次回) |
ここまで「2割特例・本則課税・簡易課税」から選択可能
➡重要!:2027年分 (2028年3月申告) ~( 2割特例 終了! ) 本則課税か簡易課税の選択が必須に
3:「今」やるべきこと。
2027年を見据えた修繕計画
2割特例が終了するからこそ、修繕計画も「税務戦略」として捉え直す必要があります。
本則課税が有利なオーナー様
駐車場・テナント収入の割合が高く、今後も定期的に大規模修繕を行う予定がある場合、2027年以降は「本則課税」を選択する方が有利になる可能性が高いです。
修繕時期の最適化
例えば、大規模修繕を2026年中に実施すると、まだ「2割特例」を選んでいる場合は高額な仕入税額控除(支払った消費税)が使えません。あえて修繕時期を2027年以降にずらし、その年から「本則課税」を選択して高額な消費税の還付(または納税額の圧縮)を狙う、というのも有力な経営戦略です。
消費税の申告は、単なる事務作業ではありません。ご自身の物件ポートフォリオ(課税売上の比率)と、長期修繕計画をどう組み合わせるかという、高度な「経営判断」そのものです。
「2025年分の申告で本則課税に切り替えるべきか?」
「2027年以降の修繕計画をどう組むか?」
こうした判断は、物件ごとの状況によって最適解が異なります。ご不明な点は、ご契約の管理会社と物件の収支や修繕履歴を確認の上、顧問税理士にご相談ください。
※本稿は2025年10月時点の制度を前提とした一般解説です。最終的な税務判断については、必ず顧問税理士等の専門家にご確認ください。
「みんなで大家さん」投資リスクと「住環境」が招く健康問題
2000億円の巨大ファンド 「みんなで大家さん」が配当停止
「年利7%、元本償還」を謳い文句に、多くの個人投資家から2000億円を超える資金を集めてきた不動産ファン「みんなで大家さん」が、現在大きな問題に直面しています。 約束の配当金が3ヶ月以上も遅延し、開発計画は度重なる延期。全国では集団訴訟が進行しており、賃貸経営に関わるオーナーにとっても決して無関係な話ではありません。問題の発端は、千葉県成田市の大規模開発プロジェクトです。出資者は同商品購入で投資し、収益を配当として受け取り、5年満期後に出資金が全額返還される予定でした。しかし、工事の遅れが常態化し、2025年に入るとついに複数のファンドで配当金の支払いがストップ。この事態に出資者の動揺が広がっています。
所管する自治体は、不動産特定共同事業法に基づき処分や指導を実施。説明不足や不適切な契約表現など、運営
側の情報開示姿勢に厳しい視線を注いでいます。
なぜ、こうした事態に至ってしまったのでしょうか。投資家の多くは取材に対し、「過去の実績を信じた」「中身や仕組みをよく調べずに投資した」と、見通しの甘さを口にしました。
開発プロジェクトは成田空港近郊で、東京ドーム10個分の広大な用地にホテルやアリーナなどの大規模な商業施設を開発する計画です。これは難工事が予想され、なおかつプロジェクト成功の見込みも不透明です。こうした不動産開発特有のリスクを直視せずに、単なる金融商品として見てしまったのでしょう。
また、もともとの法律の不備も指摘されています。経済誌の記者は次のように指摘します。
「プロジェクト用地は周辺相場の100倍以上という異常な高評価で販売されていた。関連会社間の資金移動など、出資者に見えにくい運用もリスクを高めている。制度的な法改正を含め、情報開示や監督体制の強化が必須になるはずだ」とはいえ、肝心の出資金回収は見通しが立たず、多くの個人が不安を感じながら過ごしています。すでに1000人以上が出資金の返還を求め、裁判に移行する予定と報じられています。
賃貸オーナーにとっても、投資リスクの見極めという意味で、他山の石とすべき事例と言えるかもしれません。 教訓は明快です。高利回りの背後には、必ず一定のリスクが潜むということ。 やはり事業の実態や資金の流れ、契約内容まで丁寧に確認し、「自分が理解できない商品には手を出さない」という原則を貫くべきでしょう。「みんなで投資しているから安心」ではなく、「最終的な責任は自分が負う」という意識が、投資判断には不可欠です。
住宅の質が命を左右? 賃貸マンションと心血管リスクの関係
最近の研究で、住宅の種類や所有形態が高齢者の健康に影響を与えることが明らかになりました。東京科学大学などの研究チームが、日本各地の65歳以上の高齢者約4万人を6年間追跡した結果、分譲マンションに住む人と比べて、賃貸マンションの居住者では心血管疾患による死亡リスクが約1.8倍高いことが分かりました。特に男性では2倍を超える差が見られたといいます。
その理由として、住宅の「質」の違いを指摘しています。分譲マンションに比べて賃貸住宅は断熱性や気密性が劣る傾向にあり、冬季の室温が低く不安定になりやすい。室温の変動が大きいと血圧も変動し、それが長期的に心血
管リスクを高める要因になるというのです。
心血管疾患は突然死や孤独死、事故物件の要因にもなり得ます。断熱や遮音、温度管理など住環境の改善は、入居者の健康維持だけでなく、長期入居や信頼性の向上にも寄与しそうです。
賃貸住宅オーナーにとっても室内の温度管理はプラスの面が多いようです。例えば、二重窓(内窓)の設置や、浴室暖房乾燥機の導入、高効率給湯器への交換といった比較的導入しやすいリフォームが、ヒートショック対策(=事故物件リスクの低減)の第一歩となるかもしれません。 日本全体で高齢化が進むなか、温かい部屋づくりは入居者の命を守ることに貢献するのかもしれません。

- 家のこと
- 2025年12月の賃貸経営管理ニュース
- Tags
- 人気のタグ
- Rerated
- 関連記事