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- 2026.01.06

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2025年を振り返る 記者座談会
2025年の賃貸業界が直面した「多角的な歪み」を鋭く語ってもらいました。
| A氏:40代前半 | B氏:30代中盤 | C氏:20代後半 |
| 業界20年近いベテラン記者。 事件取材が得意で 週刊誌など幅広く執筆。 | テクノロジー系ニュースに 強いネットメディア記者。 | 経済雑誌で不動産・建設を 担当する記者。 |
外国人オーナーの急増と賃貸市場への影響
A:2025年はいつにも増して、外国人に関する話題が多かった。 外国人が賃貸マンションを購入してオーナーになることも珍しくなくなった。
B:東京の板橋区で外国人オーナーが入居者に対し、家賃を2.5倍まで引き上げるという極端な値上げを通知して、大きな問題になりました。エレベーターを停止するなど、まるで昔の地上げ屋みたいな強引な手法には社会から批判が集まりました。
C:テレビのワイドショーでも取り上げられたことで、慌てたオーナーが値上げを撤回したようです。しかし、その後も、野次馬が増えてしまって住民は迷惑しているとか。どうやらオーナーは民泊に改装するために退去させたかったのではと言われています。
A:これは極端な事例だけど、円安を背景にして海外からの不動産投資が増えている。このあたりは国としても無視できない問題になりつつあって、「外国人の不動産購入を禁止しろ」と極端な主張をする政治家も出てきた。 あまり急激な変化はマーケットに悪い影響があるし、慎重な議論が必要だろう。
B:今年も物価高が続き、建設費や維持費が右肩あがり、つられて賃料全体が上昇しています。
C:賃貸業界全体が強気になってきたように感じます。都内のある管理会社のデータでは、入居者の入れ替わり
時で平均8%、契約更新では3%の家賃アップだったそうです。 更新時の引き上げに、すんなり応じてくれる入居者も増えてきたとか。
儲かる不動産にご用心、また投資被害
A:2000億円規模の不動産ファンドが社会問題になっている。「年利7%、元本保証」を謳い文句に、多くの個人投資家から2000億円を超える資金を集めてきた「みんなで大家さん」が、何ヶ月も配当停止だ。
B:開発計画は遅々として進まず、今では1000人以上が参加する集団訴訟が進行しています。
C:このスキームは「不動産特定共同事業法」(不特法)に基づいたもので、投資家は「みんなで大家さん」を通じ
てプロジェクトに投資し、そこから得られる収益を配当として受け取る仕組みでした。そして、5年間の運用後には出資金が全額返還される予定だったんですよね。
A:だけど、開発用地はずっと造成中のままで建物はなにも建っていない。それなのにグループ会社からの「家賃」が入っていて、それを配当に回しているという説明だったが、さすがに不信に思う人も多かった。それにしても、「みんなで大家さん」という商品名のわかりやすさに前のめりになった人も多そうだな。
C:他のファンドも含めて、ネットで気軽に始められるということで、多くの人が参加するようになってリスクの見極めなど知識が追いついていないように思いますね。 法律や規制の在り方も含めて、議論されるようになってきました。
A:またか、と感じる人も多そうだ。
内見できない物件が急増
B:賃貸仲介まわりでは、『内見できる部屋が少なくて、お客さんに物件候補が出せない』という嘆きが多く聞かれました。都内の賃貸仲介店によると、ポータルサイトに載っている部屋に問い合わせても、すぐに内見可能な物件は10%もなかったそうです。
C:実は、ここ数年で、こうしたミスマッチが常態化してしまっているんですよね。それが特に顕著になるのが、年明けから続く繁忙期です。
B:10年~15年くらい前から、賃貸管理会社の多くが2ヶ月前の退去通知を求めるようになりました。これで、まだ居住中なのに「空室予定」として募集される物件が増加しました。そういう物件は内見できないため、部屋探しをしているユーザーが仮申込でキープするようになったようです。
C:仲介現場で「とりあえず申込」が横行するようになりました。オンライン申込システムの普及もあって、複数の物件に同時に手続きを進めることが容易になった結果、後でもっとよい物件が見つかれば、全部キャンセルしてしまう。結果、複数の物件が「申込中」のままになっていて、他の入居希望者が内見できない状態が続くんです。
B:さすがに業界全体でのルール作りも必要な時期かもしれません。
人手不足のしわ寄せがジワリ。置き配に賛否
A:今年は3月から4月にかけての引っ越しラッシュについて、国土交通大臣が引っ越し時期の分散を要請した。 この時期は年間平均の2倍近い引っ越しがあるので、トラックドライバーに負荷が集中して運送業界がパンク寸前だという。
C:しかし、多くの人は入学や入社に合わせて引っ越しするため、個人による調整には限度がありますよね。
A:国交省では民間企業に対しても異動時期の分散化を要請しているけど、もう4月始まりの慣習は日本社会に深く根付いているからなかなか難しい。 だから、いっそ家具・家電付き賃貸が普及するきっかけにしたらいいと思っているんだよな。日本でも普及すれば、引っ越し時の大型家具の移動が不要となり、トラック運送の負担も大幅に軽減されるのは間違いない。 特に単身者や短期居住者にとっては、家具の購入や処分の手間が省けるメリットは大きいと思うんだけどな。
C:家具レンタルの事業者は確実に増えていますし、利用も増加中のようです。不動産業界やオーナーにとっても売上を伸ばすビジネスになるかもしれないですし、こちらも2026年に継続して気になる話題ですね。
A:ちょっと関連する話題として、マンションの置き配問題が炎上したのには驚いた。政府がマンションのオートロックを配達員が解錠できるシステムの作成を支援する、という誤解が発端だったようだ。 実際は、政府が支援するのは既存の解錠システムの連携にすぎなかったんだけど。
B:置き配などで簡便化しないと物流現場が立ちゆかないのは間違いない。でも、管理の現場では盗難やストーカー被害の懸念も出ていますよね。置き配が生活リズムや居住情報の手がかりになるリスクが指摘されていて、管理側はむしろ負担増にしかならない、と。
A:置き配が「物流の省力化」を実現しても、「住環境の安全」が揺らいだり、管理サイドの負担ばかり増えたりすると成立しない。つまり物流と集合住宅の管理をセットで制度設計する必要がありそうで、これは2026年の大きな課題になりそうだ。
人口減少社会の課題?クマ被害が急増
A:それにしても、今年はクマ被害が深刻化したね。被害が多い地域を見ると、山間部が多くて、人口減少しているところと重なる。
B:住宅着工も減っている地域です。現場では物件周辺の柿の実を落としたり草木を刈ったりという手作業の対策しかできていないんですよね。ある不動産会社の代表は、『クマ出没リスクも物件情報として扱う段階に来ている』と語っていました。
A:人口が縮む社会では、これまで想像もしなかった新しいリスクが生まれるということは、業界全体が知って
おくべきだろうな。
C:こうして振り返ると、2025年の賃貸市場は「賃料」「管理」「安全」の三つが同時に揺れた一年でした。
海外マネー、物流負荷、人口減少─外からの圧力が一気に顕在化したように思います。
B: 数字を見ても、従来の前提が通用しない局面に入っています。都市部では賃料は上昇、でも地方では供給そのものが大幅に減少、管理現場は人手不足で逼迫している。 取材現場でも従来とはまったく別の声を聞くようになりました。
A:話題の多さが、それを象徴していた。炎上や事件に振り回されたというより、実は賃貸住宅が社会インフラ
として問われ始めた一年だったのかもしれない。
住宅セーフティネット法の改正について
住宅セーフティネット法(正式名称:住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律)の改正法が2024年6月に公布され、2025年10月1日より施行されました。 今回の法改正は 、賃貸住宅オーナー様の実務に大きな影響を与える重要な内容となっています。今回の記事では、改正の概要と弁護士の視点から特に重要と思われる点について解説します。
住宅セーフティネット法とは
住宅セーフティネット法とは、高齢、障害、低所得、子育て中など、賃貸住宅への入居にハードルを抱えている人(「住宅確保要配慮者」といいます。)が、民間の賃貸住宅に入りやすくするための法律で、2017年に施行されました。この法律は、住宅確保要配慮者と賃貸住宅オーナーの双方を支援するため、以下の3つの制度を柱としています。
1:住宅の登録制度 オーナーが所有する空き家や賃貸住宅を、「要配慮者の入居を拒まない住宅」(セーフティネット住宅)として都道府県や市町村に登録する制度
2:経済的な支援 オーナーと入居者の双方への経済的な支援(登録住宅の改修費用の一部等の補助など)
3:居住支援 NPO法人や社会福祉法人などが「居住支援法人」として指定を受け、入居前後(物件探し、入居手続、見守りなど)のサポートを行うこと
2024年改正の概要
今回の改正は、高齢者や低所得者などの住宅確保要配慮者が増加する中で、賃貸住宅オーナーが抱える不安(家賃滞納、孤独死、残置物処理など)を軽減し、同時に入居者の居住の安定を強化することを目的としています。
主な改正のポイントは、以下の3つの柱にまとめられます。
POINT1:オーナーの不安を軽減する仕組みの強化
①家賃債務保証業者の認定制度の創設 国交大臣が優良な保証業者を認定する制度が新設され、滞納リスクへの備えが強化されました。
②生活保護受給者の家賃の「代理納付」の原則化 「居住サポート住宅」への入居時、自治体が家賃をオーナーへ直接支払う「代理納付」が原則化されました。
POINT2:入居者死亡時の手続きの円滑化
①残置物処理の円滑化 居住支援法人が、生前の委任契約に基づき残置物の整理・撤去を行えるようになりました。
②「終身建物賃貸借」認可手続きの簡素化 安否確認や見守り等のサポート付き住宅として、「居住サポート住宅」の認定制度が新たに創設されました。
POINT3:要配慮者への居住支援体制の強化
安否確認や見守り等のサポート付き住宅として、「居住サポート住宅」の認定制度が新たに創設されました。
弁護士の視点から
今回の改正内容の中で、賃貸住宅のオーナー様にとって大きな影響があると見ているのは、「終身建物賃貸借」の手続が簡素化されたという点です。もし、単身で居住していた高齢の賃借人が死亡した場合、賃貸借契約はその相続人に引き継がれます。このため、オーナーは、まず賃借人の相続人に連絡を取り、契約の解約や退去手続(残置物処理)について協議しなければなりません。
実務で特に問題となるのは、お子さんがいない賃借人の場合です。この場合、賃借人の兄弟姉妹(場合によっては甥や姪)が相続人となります。オーナーは、まず戸籍を辿って相続人を探し当てて連絡を取る必要があります。この調査だけでも専門家の費用を要します。
さらに、仮に探し当てたとしても、兄弟姉妹も高齢で対応できない、あるいは疎遠だったので「相続放棄」したい、と主張され、協議が停滞するケースも少なくありません。
相続人が対応しない場合には、オーナーは法的には、相続人全員を、または、相続人全員が相続放棄した場合には裁判所が選任する特別代理人を相手にして明渡請求訴訟を起こさなければ、適法に残置物を処分し、部屋を明け渡してもらうことができません。
これは非常に大きな時間的・金銭的負担となります。「終身建物賃貸借」は、賃借人の死亡によって賃貸借契約が終了する制度です。相続の問題が発生しないため、法的に最も有効な方策の一つです。
今後は、高齢の入居者を受け入れる際、終身建物賃貸借の利用を検討するとともに、居住支援法人や認定保証業者と連携し、入居時に残置物処理の事前委託契約等を締結してもらうよう働きかけることが、リスク管理として一層重要になるでしょう。
弁護士 北村亮典 *この記事は、2025年11月30日時点の法令等に基づいて書かれています。

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