- 2021.06.03
相続がはじまると、亡くなった人(被相続人)が保有していた財産は相続人が引き継ぎます。個人の場合、財産の大半がご自宅(不動産)ということが多いですが、不動産は分けるのが難しく、遺産分割でトラブルの原因となるケースが珍しくありません。この記事では、実際に起きるトラブルの事例と、トラブルを回避するための方法ついて解説します。
- Contentsこの記事で読めること
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相続された不動産がトラブルの原因とならないために
相続されたご自宅の“あるある”トラブル3選
ー分割できない問題
同居していた子がその自宅を相続する、または別居していた子が相続してその自宅に住む、というケースです。ここで問題となるのは、相続人が複数いる場合です。例えば、同居している子Aと、別居している子Bがいます。仮に遺産を均等に分割するとしたら、子Bには自宅不動産の評価額と同程度の財産を相続させなければなりません。
遺産が潤沢にあればいいのですが、相続財産のほとんどが自宅だった場合は均等な分割ができません。Bがどうしても均等な分割を望むならを自宅不動産を売却して現金化しAとBで分けたりしますが、そうするとAは住まいを失ってしまいます。
ー誰も住まない問題(空き家)
これはとてもイメージしやすいかと思います。子が既にマイホームを取得していて、遺産として残ったご自宅が空き家になるという社会問題です。ちなみに、秋田の空き家数(平成30年時点)は、60,800戸で 5年間で4,200戸増加、空き家率(総住宅数に占める割合)は13.6%もあります。建っている家の1割以上は空き家です。
また、空き家でも土地・建物の固定資産税は相続人が負担する必要がありますし、建物の維持にもお金がかかります。老朽化やゴミの不法投棄など、空き家が防犯・防災面での近隣トラブルにつながることもあり、空き家のまま放置しておくのは相続人にも社会的にもリスクしかありません。
ー処分しづらい問題
複数の相続人に均等に遺産分割するために、自宅不動産の所有権を共有することもできます。現金化しないでとりあえずご自宅を残しておくパターンです。これは、子が住む場合でも住まない場合でもあります。一見よさそうに見える共有ですが、共有者が単独で不動産を貸したり売ったりできにくくなりますので、将来的な処分がメンドウになりがちです。また、共有者が亡くなったときは、更にその相続人が所有権を相続し、どんどん共有者が増えて、もっと処分がしづらくなります。実際に、共有者が多すぎて処分できなくなっている不動産は数多くあります。
ご自宅の将来を考える
こうしたトラブルを避けるためには、事前にご自宅をどうするかを考えておくことが大切です。具体的にどんな方法があるのか見ていきましょう。
ー子が将来的にも住みやすい状態にする
リフォームや二世帯住宅への建て替えを行い、子がご自宅を引き継ぎやすくします。また、相続人が複数いる場合は、ご自宅を相続しない方のために、金融資産や生命保険などを利用した遺産分割対策も検討しましょう。遺言を残しておいて、遺産分割方法を指定することで、トラブルを避けることもできます。
ー収益物件として活用する
収益物件とは、文字通り収益を上げることができる物件、分かりやすくいうとアパートです。立地条件がよければ、賃貸住宅などに建て替えてもいいでしょう。それによって賃貸料が入ってくれば老後の生活費として使うことができますし、オーナーとして一室に住めばご自身の住居の心配もありません。
ー売却する
将来的に誰も住まないことがわかっているなら、生前に売却して利便性の高い賃貸マンションや高齢者向けの住宅、有料老人ホームなどに住み替えるのもいいでしょう。亡くなった後に売却して、売却代金を相続人で分割する方法もありますが、買い手がいなくて売るに売れない状況になってしまう可能性も。売れるときに売っておいたほうがいいこともありますし、現金化しておいたほうが遺産分割しやすいというメリットもあります。
ーリバースモーゲージを利用する
リバースモーゲージとはシニア向けの住宅ローンの一種で、ご自宅を担保にして老後資金を借り入れる仕組みです。契約者(借り入れた人)が亡くなったときにご自宅を売却して借入金を一括返済する仕組みで、生前は返済しないか、利息のみを支払います。ご自宅を相続させない、または相続させる必要がないのであれば、自宅に住み続けながらまとまった資金を確保できますし、単に生活資金を得るだけでなく、リフォームや建て替え、レジャー用途などにも活用できるので、老後の選択肢が広がりますね。
大切なご自宅も、何もしないと親族同士のトラブルにつながったり、空き家になって社会的な問題を引き起こしてしまうリスクがあります。不動産の将来を早めに考えることは、受け継ぐ人たちのためになるのはもちろん、ご自身の老後の生活をより快適に送ることにも繋がりますので、自分や配偶者の希望、子の意思などをしっかり確認しながら、今からでも考えてみるのはいかがでしょうか。
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