- 2025.02.07
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繁忙期の空室対策を最終チェックする!
繁忙期も後半になりました。もし、まだ空室が決まっていない大家様は、ぜひ今回の空室対策最終チェックをお役立てください。
常に現状を知っておくことが重要
物件の現状を常に把握することがとても重要です。いまが満室だからといって安心できないのです。次の空室発生はいつか?を考え、そのときの対策を決めておくべきです。もし入居率が75%は超えているが100%でないなら、限られた需要の中で差別化することで、早く満室にすることを考えてください。また入居率が75%を下回っているなら、今までの不動産会社の対策は十分だったのか?を考えるべきです。
このように物件の現状、とくに入居状況を知り、常に次の手段を検討しておく必要があります。その際は、目先にとらわれず、中長期的に改善・投資するという姿勢が重要です。
時代の変化を知って対策に活かす
大家さんの立場で見ると、昔は「建てれば埋まる」という時代から、現在は「上手な賃貸経営と、そうでない賃貸経営で収益が大きく変わる」という時代に変化しました。入居者の考えも、以前は「住めるところがあれば有り難い」から、現在は「選択肢は豊富なのだから安い費用で良いところに住みたい」というように変わっています。
不動産会社の立場で見ても、以前は「募集や管理を任せてもらえれば儲かる」から、「良い提案が出来ないと管理を外される」ことが多くなりつつあります。入居者の募集でも、以前は「お客さんの方から探しに来る」状況だったのに、「ネットを上手く活用する会社に問い合わせが集中する」ようになっています。
このように空室対策を考える前提として、時代の変化を知っておく必要があるのです。
差別化できる設備を選ぶには?
具体的な施策に話を移しましょう。まず「この設備がなければ入居が決まらないTOP10」というアンケート結果が毎年発表されているので、設備追加で差別化を図るときの参考になります。
その設備には、エアコン、TVモニター付きインターホン、室内洗濯機置き場、宅配ボックス、インターネット無料、などが並んでいます。特にインターネット利用が当然となった即今では、「物件のWEB対応能力」が大きなセールスポイントになりました。WEB対応とは、たとえばAmazonなど通販サイトの配達を支援することです。
具体的には宅配ボックスの設置や置き配への対応です。さらに、スマホが快適に使えるWifi、YoutubeなどがTVで視聴できる環境など。インターネットは若年層向きと言われますが、いまやWEB対応能力は、入居者の年代を問わずに必須となっています。
差別化のためにどんな設備を選べばよいか? を検討するには入居者の考えを知ることです。入居者が物件を選ぶうえで嫌うポイントは、生活する上で「困る」「不便に感じる」「不安になる」ことです。入居者は、設備を求めているのではなく「快適な暮らし」を求めているわけです。この入居者ニーズの捉え方は、差別化のための設備選択にとても参考になります。
設備を変える最適なタイミングは?
設備を変更するベストタイミングは原状回復工事です。これからは、以前の状態に戻す「原状回復」だけでなく、部屋を決める目的で修繕をする「現状回復」への切り替えが必要です。その際は、
- 修繕の際に必須設備を交換する。
- WEB上での見え方を重視した部屋づくりを心掛ける。
- 実家仕様の設備の導入(賃貸だからといって不自由を我慢させない)を検討する。
以上の3つのポイントを重視しています。そして、「中途半端な対策でなくターゲットを明確にして設備を選ぶ」、「思い込みと“もったいない精神”から、必要なものは入れ替えて使えるものは残す精神に切り替える」、「目先の現象にとらわれないで、費用対効果が明確で妥当な対策を選ぶ」という考え方も大切です。設備交換は、お金をかけるだけ良くなるわけではない、ことを知っていただきたいです。お金のかけ方にも知恵が必要なのです。
オーナーの選択は4つ
空室対策を考える時、オーナー様の選択肢は以下の4つが考えられます。
- 何もしない
- 家賃を下げる
- 募集条件を変える(敷・礼ゼロ、契約金ゼロ、フリーレントなど)
- 設備追加やリフォーム・リノベーションで投資する
どの選択にも間違い、というものはありません。オーナー様の経営方針を理解し、中長期の視点から提案できる不動産会社をお選びください。
賢く活用!生命保険を活用した相続税対策
今回は生命保険を「相続税の納税資金」として活用する方法についてのお話しです。以下の例で解説いたします。
Aさんはアパート等を所有する資産家です。家族は妻と子供一人です。今までも相続税対策を施して課税財産を圧縮してきましたが、相続税をゼロにするまでには至らないので、妻や子の納税資金を用意する必要がありました。そこで生命保険の活用を検討しました。
パターン①Aさん:契約者/Aさん:被保険者/妻:受取人
Aさんが契約者(保険金を払う人)と被保険者(保険に加入している人)となり、保険金の受取りを妻とする契約です。Aさん自身が亡くなったあとに家族が死亡保険金を受け取った場合は「みなし相続財産」として相続税の課税対象になりますが、死亡保険金には非課税枠があり、法定相続人1人当たり500万円までが非課税となります。
このケースでは1000万円(500万円×法定相続人)まで課税されません。法定相続人が4人なら2000万円が非課税です。預金2000万円は全額が相続財産となりますが、それと比べると保険金で受け取った場合の非課税2000万円の節税効果は大きいといえます。
ここで前述の「みなし相続財産」について説明しておきましょう。みなし相続財産とは、民法上の相続財産ではないが、相続税を計算する際は相続財産とみなして課税する財産のことです。たとえば、亡くなった親に借金があるので相続放棄をした場合は、相続財産を受け取ることができません。
しかし死亡保険金は、被相続人が所有していたものではなく、被相続人が亡くなったことで相続人のものになったので、民法上は相続財産とはならず取得することができます。一方で税法上は相続税の課税対象となります(相続放棄で法定相続人でなくなったので非課税枠は使えません)。民法と税法では相続財産の捉え方が違う、ということですね。
契約方法によっては非課税枠を使えない
生命保険は契約の仕方で死亡保険金にかかる税金が、相続税、贈与税、所得税と異なる点に注意が必要です。
パターン②Aさん:契約者/妻:被保険者/Aさん:受取人
契約者(保険金を払う人)がAさんで被保険者(保険に加入している人)が妻となり、保険金の受取人をAさん自身とする契約です。この場合は死亡保険金を受け取るAさんにかかるのは所得税(一時所得)となります。
パターン③Aさん:契約者/妻:被保険者/子:受取人
契約者がAさんで被保険者が妻となり、保険金の受取人が子の契約です。子にかかる税金は贈与税となります。当然ですが②と③では非課税枠は使えません。生命保険の「非課税枠が利用できる」というメリットは、契約の仕方を間違えると思惑どおりにならないので注意してください。
生命保険と生前贈与の併用も
死亡保険金が非課税枠を超えた分は相続財産として課税されます。もし相続財産が多く、相続税率が30%や40%となるようなケースでは、納税資金として受け取った死亡保険金にも多額の税金がかかってしまいます。そこで「生前贈与を使って節税する」という方法を最後に紹介いたします。
Aさんが子に贈与/子:契約者/Aさん:被保険者/子:受取人
Aさんを被保険者(保険に加入している人)、子を契約者(保険金を払う人)かつ受取人とする保険に加入します。Aさんが暦年贈与か相続時精算課税の非課税枠で年間110万円まで子に贈与したお金を、子が保険料として支払います。死亡保険金を受け取った子には所得税(一時所得)が課税されますが、その計算式は以下の通りです。
保険金額-払込保険料-50万円×1/2=課税所得
この課税所得が、子の所得にプラスされて当人の所得税を算出します。その結果、相続税と所得税のどちらの税率が低くなるか、で判断することになります。
相続対策の生命保険活用のメリットを紹介しましたが注意点もあります。保険料の払込期間が長期設定なので資金繰りが大変になり、途中解約せざるを得ない状況となっては元も子もありません。掛け捨て型か、貯蓄型か、終身保険かなど、どんな保険商品にするかも重要な選択になります。
2025年の賃貸市場で注目される3大トレンド
賃貸住宅市場で、3つの新しい潮流が鮮明になってきています。「省エネ性能」「ローカル億ション」、そして「防犯投資」です。大手ポータルサイトHOME’Sを運営するLIFULLが2024年12月に発表した2025年トレンド予測から、これらの動向を詳しく見ていきましょう。
高まる省エネ性能への関心、2025年も補助制度継続へ
省エネ性能を重視する入居者が増加しています。LIFULLの調査では、省エネ性能を「意識する」「やや意識する」と回答した入居希望者が約50%に達し、数年前と比べて大きな変化が見られます。この背景には、2025年4月から新築建築物に省エネ基準適合が義務付けられることがあります。
この基準は2030年、さらに厳格化される予定です。こうした制度の後押しもあり、省エネ性能表示ラベルを採用する物件が増加中です。新築賃貸物件では、約1万7,000件がポータルサイトに登録されており、対象物件の約15%を占めています。また、入居者の節約志向も影響しています。関東の不動産仲介店によれば、「旧型エアコンや断熱性能の低い窓を避ける人が増えている」とのことです。
賃貸オーナーにとって注目すべきは、窓の断熱改修補助金制度です。複層ガラスへの交換や内窓設置など、対象工事には1戸あたり最大200万円の補助金が支給されます。この制度は入居者も申請可能で、快適性向上と物件価値向上を同時に実現できます。
補助金は2024年末で一旦終了予定ですが、2025年度の補正予算に盛り込まれており、来年以降も継続される見込みです。
地方都市でも広がるローカル億ション需要
これまで大都市圏だけに限られていた「億ション」(1戸1億円以上の高級分譲マンション)が、地方都市でも相次いで登場し、予想以上の売れ行きを示しています。LIFULLによると、この動きは2025年も続く見込みです。2020年時点で18都道府県だった億ションの展開エリアは、2024年には33都道府県に拡大。
北海道旭川市では市内初のタワーマンション「プレミスト旭川ザ・タワー」が誕生し、最上階の1室(3億5,000万円)は抽選倍率8倍を記録。購入者の約60%が居住目的で、医師や経営者など富裕層が中心でした。
沖縄県首里金城町では30年ぶりの分譲マンション「プレミスト首里金城町」が販売され、13戸が1億円を超える価格設定にもかかわらず好調。購入者の約60%が首都圏在住者でした。また、島根県松江市の「アルファガーデン宍道湖」では最上階3室が1億円超ながら完売を達成しました。
高級分譲マンションは一見、賃貸オーナーに無縁に思えますが、富裕層の地方分散は高級賃貸需要を生む可能性があります。さらに、億ションの建設は地域の商業施設やインフラの充実を促し、周辺の賃貸物件の価値向上にも寄与するため、地域不動産市場全体の指標として注目されます。
高まる防犯意識と設備投資
防犯対策の強化が注目されています。LIFULLの調査によれば、住宅購入検討者の約80%が「この1年間で防犯意識が高まった」と回答。強盗や住居侵入事件の報道をきっかけに、約30%の人が一戸建てから集合住宅への希望変更を検討していることも明らかになりました。
警視庁の統計によると、戸建住宅への侵入経路は「窓」(55.2%)が最多で、次いで「玄関」(20.2%)。「無締まり」(46.3%)や「ガラス破り」(35.8%)が主な侵入手口です。この状況を受け、防犯設備の需要が増加しています。自治体も支援を強化しています。東京都葛飾区では、防犯カメラや録画機能付きドアホン、防犯ガラス設置にかかる費用の半額(上限4万円)を助成する制度を実施中。賃貸住宅も対象で、こうした取り組みは全国的に広がる見込みです。
防犯設備への投資は、入居者の安全確保だけでなく、物件の付加価値向上にも寄与します。2025年の賃貸市場では、省エネ、億ション、防犯の3要素が入居者の選択基準としてますます重要になるでしょう。
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