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- 2025.10.08


資産価値を死守する!『守りの投資』としての外壁・防止工事 徹底解説
賃貸経営における最大の使命は、物件の資産価値を長期にわたり維持・向上させることです。その根幹をなすの
が、建物を風雨や紫外線から守る「守りの投資」、すなわち外壁や屋上の修繕です。今回は、多くのオーナー様が悩まれる大規模修繕について、工法の選定から業者選びまで、具体的なポイントを解説します。
「15年周期」は法律の義務?知っておくべき修繕の本当の理由
「大規模修繕は15年に一度」とよく言われますが、これは法律で定められた義務ではありません。しかし、建築基準法では定期的な「調査・報告」が義務付けられており、特に外壁タイルの10年毎の全面打診調査など、安全性へ
の要求は年々高まっています。12年~15年という周期は、塗料やシーリング材の多くが寿命を迎え、建物を保護する機能が著しく低下する時期。つまり、法的な義務としてではなく、雨漏りなどの致命的な劣化を防ぎ、資産価値
を維持するための経営判断として極めて重要な「目安」なのです。
工法と費用の目安を知り、最適な選択を
修繕計画を立てる上で、代表的な工法と費用の目安を把握しておくことが重要です。
屋上 ウレタン塗膜防水 複雑な形状にも対応しやすく、定期的なトップコート塗替えで長持ち。
(耐用年数目安10 ~ 13 年/費用目安(/ ㎡)5,000 ~ 8,000 円)
シート防水 厚みが均一で工期が比較的短い。ジョイント部分の施工精度が重要。
(耐用年数目安13 ~ 18 年/費用目安(/ ㎡)6,000 ~ 9,000 円)
外壁 シリコン塗装 コストと耐久性のバランスに優れ、最も広く採用されている。
(耐用年数目安10 ~ 15 年/費用目安(/ ㎡)2,500 ~ 4,000 円)
フッ素塗装 高価だが耐久性が非常に高く、長期的な塗替え回数を削減できる。
(耐用年数目安15 ~ 20 年/費用目安(/ ㎡)4,000 ~ 6,000 円)
その他 シーリング打替え 外壁パネルの繋ぎ目。塗装より先に劣化することが多く、雨漏りの主要因。
(耐用年数目安10 ~ 12 年/費用目安(/ ㎡)800 ~ 1,500 円)
※上記費用に加え、工事費全体の20~30%を占める「足場代」が別途必要となります。高耐久のフッ素塗料を選ぶことは、この足場代をかける回数を減らし、長期的なコスト削減につながるという視点も大切です。
失敗しないための「業者選定」 3 つのポイント
大規模修繕の成否は、パートナーとある業者選びで9割決まると言っても過言ではありません。
1 「相見積もり」は価格だけでなく”内容”を比較する
総額の安さだけで選ぶのは、将来的なリスクを考えると最も危険な選択です。なぜなら、安い見積もりには、安いなりの「理由」が隠れていることが多いからです。
具体例 1 外壁の塗装
「どの塗料を使うか」で10 年後のコストが変わる 車に様々なグレードがあるように、塗料にも耐久性によってグレードがあります。A 社の180 万円(ウレタン塗料)とB 社の210 万円(シリコン塗料)の見積もりでは、短期的な費用はA社が安いですが、耐用年数が短いため、次の修繕が早く訪れます。高額な足場代を何度もかけることを思えば、長期的な総コストはB 社の方が安くなる可能性が高いのです。
《 チェックポイント》 見積書に「メーカー名」や「商品名」、最低でも「シリコン塗料」といった塗料の種類が明記されているか確認しましょう。
具体例 2 シーリング工事
「打ち替え」と「増し打ち」では意味が全く違う シーリング工事には、古いものを完全に撤去して新しくする「打ち替え」と、古いものの上から重ねる「増し打ち」があります。「増し打ち」は安価ですが、根本的な解決にならず、すぐに劣化が再発します。
《チェックポイント》 見積もりの項目に「既存シーリング撤去」の工程が含まれているか。これは適切な工事を見極める絶対的なポイントです。
2 施工実績で「専門性」を確認する
戸建て住宅専門の業者と、マンション・アパートの修繕を専門とする業者とでは、ノウハウが全く異なります。必ず同規模・同構造の建物の施工実績を確認し、経験豊富な業者を選びましょう。
3 「保証内容」を書面で確認する
工事後の保証は非常に重要です。「最長〇年保証」という言葉だけでなく、保証の対象範囲(塗膜の剥がれ、雨漏りなど)や、免責事項まで、必ず書面で具体的に確認することが不可欠です。 計画的な「守りの投資」は、コストではなく、未来の収益を守り育てるための重要な経営戦略です。信頼できるパートナーと共に、長期的な視点で資産価値の最大化を目指しましょう。
そのリフォーム費用、経費?それとも資産?賢い判断術とは?!
ご所有物件の改修費用について「どこまでが経費になるのか?」と、判断に悩まれたことはないでしょうか。実はこの問題、単なる経費計算に留まらず、「いつ、どの工事に、いくら投資し、税務上どう位置付けるか」という、キャッシュフローと資産価値に直結する、いわば経営判断そのものなのです。 例えば、一体の工事と見なされる計画を、安易に見積書上で分割しないなど、税務の基本を押さえることが戦略の第一歩となります。そこで今回は、長期保有を前提に、減価償却や最新の補助金制度をどう活用し、意思決定に繋げるかのヒントを解説します。
手元資金を増やす「減価償却」の工夫
資本的支出を減価償却として費用化する工夫により、手元資金を増やすことができます。例えば、取得費5,000 万円のRC 物件を、建物本体4,000 万円と給排水・空調等の「附属設備」1,000 万円に分けて計上するとどうなるでしょうか。附属設備は建物本体より短い耐用年数で償却できるため、初年度の経費を大きく増やすことができます。
【附属設備を分割した場合の償却費比較(例)】
計上方法 建物(47年償却) 附属設備(15年償却) 初年度の減価償却費(定額法) 一体計上 5,000万円 なし 約106万円 分割計上 4,000万円 1,000万円 約85万円+約66万円=約151万円
このように、分割計上するだけで初年度の経費が約45 万円も増加し、キャッシュフローに大きく貢献することが分かります。さらに、中古物件では耐用年数を短く計算できる「簡便法」(国税庁No.5404)を活用すれば、より投資回収を早めることも可能です。
【2025年最新】 補助金・税優遇を組み込んだ意思決定
こうした税務の基本に加え、国の制度をうまく活用することも、今の賃貸経営では大切です。 2025 年も「住宅省エネキャンペーン」等で断熱窓や高効率給湯器への補助が継続されており、資本的支出の自己負担を軽減できるチャンスです 。こうした投資は、光熱費削減による入居者満足度向上と、将来の家賃設定にも有利に働くのではないでしょうか 。同様に、1982 年1 月1 日以前築の物件で、現行基準に適合させる耐震改修(費用50 万円超)を行うと、翌年度の固定資産税が2 分の1 に減額される制度(2026 年3 月31 日までの工事完了が期限)も、覚えておきたいポイントです。
なお、補助金を利用して設備を導入した場合、税務上の取得価額の扱いに注意が必要です。原則として、補助金相当額を固定資産の取得価額から控除する必要があります。 例えば、30 万円の工事で10 万円の補助金が出た場合、資本的支出として資産計上する額は20 万円となります。ただし、この処理は将来の売却時の取得費にも影響するため、必ず専門家にご確認ください。
グレーゾーン 差額部分を資本的支出とみなす考え方
最後に、多くのオーナー様が判断に迷われる「グレーゾーン」について、一つの考え方をご紹介します。
考え方のポイント 故障を機に設備をアップグレードする場合 今回のケース:標準的な給湯器(交換費用10 万円)が故障。 これを機に、省エネ性能が高い多機能品(費用30 万円)に交換した。
この30 万円の費用は、以下のように按分して考えます。
費用30万円 10万円:【修繕費(経費)として計上】
本来の原状回復(同等品への交換)に必要な費用のため。
20万円:【資本的支出(資産)として計上】 新たな価値(省エネ・多機能)を付加するための費用のため。
準備のポイント 税務署への説明責任を果たすために この考え方を税務署に認めてもらうには、客観的な証拠が不可欠です。 ① 同等品の見積書:「 もし標準品に交換していたら、いくらだったか」を証明する。
② 高機能品の見積書:「 実際に支払った費用」を証明する。
この2 種類の見積書を工事業者から取得し、必ずセットで保管しておきましょう。
実行前の注意点 この按分方法は、税務署の判断次第では否認されるリスクもあるため、実行前には必ず税理士に相談し、慎重な検討が求められます。
このように見ていくと、『修繕費』と『資本的支出』の判断は、目先の節税にとどまらず、減価償却、補助金、物件の長期的競争力といった要素を組み合わせた、総合的な投資判断であることが分かります。オーナー様の物件を借主に選んでもらい、使い続けてもらうことが、収益最大化への近道ではないでしょうか 。 ※最終的な税務判断については、必ず顧問税理士等の専門家にご確認ください。
Z世代の住まい選びを調査データから分析
スマートフォンやSNSを当たり前に使いこなすZ世代(1990年代後半~2010年前後生まれ)は、いまや消費
の主役になりつつあります。住まいに対しても独自の価値観を持ち、20代で持ち家を取得する世帯が35%を超
える一方、「持ち家にこだわらない」と答える層も約4割。 早期購入派と柔軟な賃貸派が共存し、住宅観の二極化が進んでいます。 こうした状況の中で、賃貸住宅オーナーにとって特に重要なのは、賃貸を選ぶZ世代が「どんな条件を求め、どこ
に不満を感じているのか」を探ってみましょう。
賃貸住宅の不満と希望
住宅改良開発公社がZ世代1,500人を対象に行った調査によると、Z世代が住まいにいだく不満のうち最も多かったのが「冬が寒い」(32.9%)でした。住宅の断熱性能に対する関心が高まっており、窓や壁の断熱改修が求められます。その際、既存サッシの上から新しいサッシを重ねる「カバー工法」などが有効です。国が推進する「先進的窓リノベ事業」では、これらの断熱改修に1戸当たり最大200万円の補助金が受けられる可能性があります。
次いで「隣の音が気になる」「収納が狭い」と続きます。Z世代は家賃の安さだけではなく、快適性や居住性能を強く意識しています。このあたりは、失敗を極端に嫌うコスパ重視とされるZ世代的な特徴がよく出ています。
Z世代が住まいに抱く不満ランキング 1:冬寒い 32.9% 2:隣の音が聞こえる 25% 3:収納が狭い 25% 4:料理しにくい 23.7% 5:家賃が高い 22.3%
また同じ調査では、「モニター付インターホン」のニーズ(53%)がここ数年で上昇しているのがわかります。防犯
性だけでなく、SNSが普及し人と顔を会わせないコミュニケーションに慣れ過ぎた彼らならではなのかもしれません。「ネット通販やUber Eatsなどをよく使うのでモニタ付インターホンは絶対必要です」(20代・女性)という声もありました。
最近では、従来のモニター付インターホンに加え、スマートフォンと連動するタイプも登場しています。スマホ連動型であれば、外出先からでも来訪者の映像を確認したり、応答したりすることも可能です。
以前はオプションだった設備が、Z世代にとっては標準装備として求められるようになっています。断熱改修やネッ
ト環境の整備に加えて、利便性を伴う防犯設備の導入は、空室対策に直結する投資といえそうです。
選ぶ物件はコンパクトさと収納を意識
住居タイプについても特徴があります。Z世代は、家賃を「収入の20~30%以内」に抑えることを基本とし、広さよりも機能性や使い勝手を重視する傾向があるようです。
住宅改良開発公社の調べによれば、特に「10戸未満の小規模アパート」に魅力を感じる割合が44%にのぼりました。大規模マンションよりも、落ち着きやプライバシーを確保できる環境を好む層が多いのかもしれません。
限られた面積でも収納や間取りに工夫があると評価が高まり、コンパクトで効率的な住まいほどZ世代のニーズにフィットするようです。例えば、ベッド下収納や壁面収納といったスペース活用術は、小規模物件であっても入居者満足度を大きく高めるポイントになります。
「リモートワークの普及により自宅で仕事をする時間が増えたことから、部屋をできるだけすっきりと整えて過ごしたいと考える人が増えています」(東京・賃貸仲介会社経営)
SNSで部屋探し!「 映え」も重要
Z世代は、住まい探しにおいても、従来の不動産ポータルサイトだけでなく、InstagramやTikTokといったSNSを経由して物件情報を目にする機会が増えています。実際に「友人やインフルエンサーが投稿していた部屋の雰囲気を参考にする」といった声も多く、写真や動画の見栄えが入居意欲を左右する時代になってきました。
Z世代を入居対象とする物件では、SNS映えする写真も有効になりそうです。部屋の「映え」を左右するのは、グレー系のアクセントクロス(一箇所だけ壁紙の色を変える)、そして木目調の床など自然素材を感じさせる内装です。調光可能なライティングレールも人気が高まっており、照明の演出によって空間の雰囲気を変えられる点が支持されています。
こうした要素が整うだけで、写真や動画に収めたときに魅力的に見え、Z世代が好む部屋になりそうです。近年は、こうした演出をしてくれる、「ホームステージング」(内見用の家具設置サービス)が増えつつあります。
オーナーにとっては、断熱やネット環境、防犯設備の整備といった「小さな改善」が空室対策に直結します。今後
の賃貸市場を支える世代のニーズを的確に捉え、経営戦略に活かすことが求められています。

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